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おねいちゃんは私を侵す





「ごちそうさま」
 そう言って手を合わせてから、木下真優(きのした まゆ)は自分の食器を持って立ち上がった。
「お粗末様。いいよ、置いといて。あとはお姉ちゃんが洗っておくから」
 シンクの前に立ってスポンジを握ると、隣にやってきた由香里(ゆかり)の手がそれをやんわりと奪い取った。彼女は目を細めてこちらに笑い掛けている。
「……うん、じゃあお願いね」
 お言葉に甘えて、真優はくるりと振り返りリビングへと向かう。
 気づいていた。真優が視線を逸らしたほんの一瞬だけ、由香里の顔から笑みが消え、あの眼差しをしていたことを。
 ソファに座ってテレビをつけると、後ろから洗い物をする音が聞こえてきた。それが気になってテレビの内容がまったく頭に入らない。心臓が、ばくばくと徐々に鼓動を早めていた。
 やがて、水の流れる音は途切れ、キッチンからこちらに向かってくる足音が聞こえてくる。真優はきゅっと唇を締めて、気づかない振りをした。
「隣、座るよ」
 回り込んできた由香里が隣に腰を下ろした。付けていたエプロンを外して、肘掛けの部分に置く。
「テレビ、面白い?」
「……ううん、別に」
「そっか」
 ちらちらとこちらを窺う気配があったかと思うと、次の瞬間にはぎゅっと彼女に抱きしめられていた。
 引き寄せられて、少し彼女に寄りかかる形になる。そうすると真優の小さな体は、彼女の体にほとんどすっぽりと収まってしまう。彼女の長い髪の毛先が首に当たって、ちょっとくすぐったかった。
「……今日、お父さん帰り遅くなるって」
 ややうわずった声が上から聞こえてきた。
「そうなんだ」
「うん。……ごめん、真優。してもいい?」
 由香里は震えている。必死だ、と思った。だから真優も断ることができず、やはり頷いてしまう。
「ごめんね……」
 もう一度謝ってから由香里は手を真優の肩に置き、唇を重ねてきた。
 キスってどんな味がするのだろう。少し前の真優は疑問に思っていたのだが、味なんてしなかった。いや、感じる余裕がないだけなのかもしれない。ただ、びっくりするほど唇というものは柔らかかった。
「んむっ……」
 肩を叩かれたのを合図に口を開くと、するりと由香里の舌が入り込んできた。ほんのりと熱く湿り気を帯びたもの。真優はこれがちょっと苦手だった。舌がくすぐるように口の中で蠢くたびに、頭がだんだんぼんやりしてきてしまうのだ。
「はぁっ……」
 唇が離れて、ふらついた真優は背もたれに寄りかかった。顔を上げると微かに息を乱してこちらにじっと見入っている由香里の姿があった。
 父親や親戚の人は、よく自分と姉は似ているという。だが真優は、由香里の方がずっと美人だと思っていた。長いまつ毛の掛かった瞳は大きく、鼻筋は通っている。今は色白の肌に赤みが差していて、更に磨きが掛かっているような気がした。やはり彼女は大人の女性なのだ。
「おねいちゃん……」
 思わず甘えるような声で彼女を呼んでしまっていた。由香里は頷き、慎重な手つきで真優のTシャツを持ち上げた。
「これ、落ちないように持ってて」
 服の裾を差し出してくる。真優が自分でそれを掴むと、彼女は曝け出された素肌に、手のひらで触れた。
「あったかい……」
 ぼんやりと呟いて、手で触れるだけでなく頬ずりまでしてくる。それを見ていると変な気持ちになってきた。
「あっ!」
 不意に生温い感触が肌の上を滑った。由香里の舌だった。彼女は削るように少し強めに、真優の体を舐め始めた。
「んっ、あっ! お、おねいちゃん……」
 こそばゆさとは別の感覚が走って、声が出てしまう。自分が発しているものが喘ぎというものだと、真優は最近になってようやく知った。
「真優……」
「んくっ、あぁっ……!」
 舌が胸にある幼い蕾を絡めとってきた。もう片方も指先できゅっと摘みとられる。びりびりとしてきて、背がのけぞった。
 これは、ただのスキンシップじゃない。
 これは大人のする、セックスというものなのだ。私たちは、セックスしている。――血の繋がった、実の姉妹同士で。
「真優、痛かった……?」
「だ、大丈夫……びっくりしたけど」
「よかった……」
 再び由香里から顔を近づけてきてキスされた。ただ、両手は真優のまだ成長過程の胸を揉みしだいている。
「んっ、んん……っ」
 絶え間ない刺激に、真優は意識が飛びそうになるのを必死で堪えなければならなかった。


 由香里は真優とは八つ齢の離れた姉である。今年二十歳になる彼女は父の薦めで、実家から大学に通っていた。
 母が他界してからは仕事で忙しい父の代わりに家事を一人で請け負っていて、真優にとっては姉であり、母親のような存在であった。文句の一つも言わず世話を焼いてくれ、落ち着いた雰囲気を持つ綺麗な人。歳が結構離れていることもあってか、真優は由香里を憧れの女性にも感じていた。
 だが最近になって時々、彼女が自分のことをじっと見つめていることに気づいた。どことなく悲しそうで、それでいて意識せざるえないほど熱を帯びた、そんな視線。気にはなっていたが、そんな風に自分を見ている彼女はいつもの彼女ではない雰囲気があり、尋ねることができなかった。
 そして、ある日の夜。
「んんっ……?」
 奇妙な感覚に、真優はベッドの上で目を覚ました。何だか、全身が変な感じがする。
 目を開けて、ぎょっとした。ベッドの横に膝をついた由香里が、自分の体をまさぐっているのだ。パジャマの前は大きく開かれ、中のキャミソールも捲り上げられている。
「真優……」
 由香里の吐く荒い息が聞こえている。真っ暗なせいで顔はよく見えなかった。
 彼女の手は剥き出しの真優の肌の上を這っている。まるで宝石を扱うような、優しい手つきだった。
 やがて彼女は顔を近づけてきた。途端ぬるり、としたものを感じて声をあげそうになる。驚いたことに、彼女は真優の体を舌で舐め始めたのだった。
「はぁっ、ふぅっ……真優、真優……っ」
 吐息が掛かる。寒くもないのにぞくぞくと悪寒が走るようだった。未知の感覚に戸惑う。
 幼いながら真優も、由香里に何をされているのかはわかっていた。だからこそ余計に混乱している。
 ――私、おねいちゃんに犯されてるの……?
 由香里の舌先が、真優の胸の先を突いてきた。
「あっ……!」
 声が漏れてしまった。由香里の動きがぴたりと止まる。耳に痛いほどの沈黙が、その場を支配した。
「……真優、起きてたの……?」
 不安定に揺れる声で、尋ねられる。何と答えていいかわからなかった。黙っていると、由香里がベッドに上がってきて、真優に折り重なってきた。
「おねいちゃ……んぐっ!?」
 開きかけた口を、彼女の口が突然塞いできた。唇の表面を擦られ、すぐさま舌がねじ込まれる。まるで真優の意志や言葉を奪おうとするような、荒々しいキス。それが真優の初めて体験したものだった。
「げほっ、かはっ……!」
 解放されると同時に咳き込んだ。混ざり合ってどちらのものかもわからない唾液が口からこぼれる。
「真優……ごめんね。ごめん……」
 謝りながらも、由香里は真優に再び触れてきた。もう彼女は、自分自身を止められないみたいだった。
 あまりに色々なことが一気に押し寄せてきたせいで、混乱していたのもある。
 でも、本当に切実に自分を求めている彼女の姿を前に、どうしてもその手を振り払うことはできなかった。


「ねえ、真優。お風呂、お姉ちゃんと入ろうか」
 真優の体に耳を当ててソファの上でくつろいだ格好をしている由香里は、唐突にそんな提案をしてきた。
「でも……」
 と真優は半ば口を開く。続きを悟ったらしく、由香里が顔を上げて薄く微笑みかけてくる。
「……大丈夫。お父さん、しばらく出張なの」
 ああ、と納得する。それで今日一日彼女は妙にそわそわとしていたのか。
 彼女が真優に触れてくる日は、父の帰りが遅い日か、出張の日に限られていた。特に出張の場合は、父の帰宅予定日までそれまで溜め込んでいたものを吐き出すように連夜、真優を求めてくる。
「……わかった」
 真優は小さく頷き返した。
「おいで。脱がしてあげるから」
 纏めていた髪を解いていると由香里は手を伸ばして服に手を掛けてきた。どきりとしたが、そんな意図はなかったらしく彼女は要領よく真優の服を脱がしていっただけだった。
「おねいちゃん、私、子供じゃないよ」
「はいはい。そうだったね」
 拗ねる真優を軽く受け流して、彼女は自分の服を脱ぎ始めた。
 そういえば私、おねいちゃんの裸ってあまり見たこと、ないかも……。
 触れてくるときはいつも真優ばかり脱いで、彼女が自らの衣服を乱すことはなかった。ふと気恥ずかしくなってきて、一足先にバスルームに逃げ込むことにする。
 浴槽には既にお湯が張ってある。さすがに姉である彼女に抜け目はなかった。浸かる前に、バススツールに座ってシャワーを浴び始める。
「私が洗ってあげる」
 いつの間にか由香里が、スポンジを持って後ろにいた。
「い、いいよ。自分で……」
「遠慮しないで。背中とか、洗いにくいでしょ?」
 そう言って由香里は、ボディーソープを泡立てたスポンジで真優の体を洗い出した。まずは背中から。その後は後ろに立ったままで「腕上げて」などと指示しながら側面や正面を擦っていく。
 その間中、真優は身を固くしていた。胸の辺り、足の付け根にスポンジがやってきた時はどうなるかと警戒していたが、特に何もなかった。
「流すよ」の声と共にシャワーのお湯が掛かってきて泡を洗い流していく。何だ、と脱力すると同時に、どこか物淋しく感じている自分がいた。
 私、もしかしてそういうことを望んでたのかな……。自分自身に戸惑いが走る。
 シャワーが止まった。かと思うと、ひたり、と背中に由香里の手が触れてきて驚く。
「真優の肌、綺麗だね……濡れて、光ってる……」
 艶っぽい吐息が聞こえた後に、こんにゃくのように柔らかい物が背中を擦ってきた。由香里の舌だ、とすぐにわかる。
「ひゃっ、んっ、おねいちゃ……」
「ほら、つるつる滑ってく」
 舌が上へ下へと線を交互に引いてく。思ったよりバスルームは声が響くので、口元を手で抑えて我慢しなければならなかった。
「んっはぁ……!」
 回り込んできた両手が、真優の膨らみ始めたばかりの乳房を鷲掴みにした。
「おっぱい、大きくなってきた……? 来年から真優も中学生だもんね……」
 微弱な力で揉みしだかれる。恥ずかしさで、頭がぼーっとしてきた。
「今度ブラ、一緒に買いに行こうね……ほら、ここもこんなに尖ってきてる……」
「あんっ、ああっ……」
 淡い色づきの胸の先を、由香里の指先が弄んだ。爪の先で弾く指使いが、体の力を奪っていく。
「そうだ。ここ、洗い忘れてたね」
 手が真優の足の間に入ってきた。陰りの気配さえない丘を越え、先にある秘裂の表面を中指が撫で上げた。
「くはっ!」
 全身が震えた。指が動くたび、くちゅりぬちゃ、と卑猥な音が響く。
「これ、お湯じゃないよね……?」
 耳に囁かれた吐息が張り付く。お腹の奥で、切ない感覚が膨張していくようだった。
「おねいちゃん、だめ……怖いよ……」
 このままだとどうにかなってしまいそうだった。それなのに、自分はまだ続きを求めている。
「真優……」
 由香里の指が止まった。きっと本気で真優が嫌がっていると思ったのだろう。
 違う、違うよ、おねいちゃん……。もどかしくてじっとしていられなくなり、真優は彼女を振り向く。そして目を見開いた。
 由香里の体が視界いっぱいに広がっていた。程よく柔らかそうな丸みを帯びていて、胸は真ん丸と張って強く自己主張している。大人の体だ、と思う。その綺麗さに、真優は見惚れてしまっているのだった。
「真優、どうしたの?」
「おねいちゃん、すごい……」
 体が勝手に動いて、真優は由香里にそのまま口づけていた。
「んっ……!?」
 唇が触れ合っていたのはわずかの間だった。真優は間近な距離で、じっと由香里の瞳をのぞき込む。
「おねいちゃん、早く上がって、ベッド行こう……?」
「真優……?」
 彼女は驚きを隠せない様子だったが、やがて小さく頷いた。


「ふっ、はっ……」
 軽く体を洗ってすぐにバスルームを出た二人は、濡れた髪も乾かさぬまま真優のベッドの上でもつれ合っていた。服を身につける必要もなかった。
 唇と唇が合わさる。真優の小さな唇が、由香里の大きな唇に包まれていた。口の中を這いずる舌は、欲求そのままに激しさを増していく。
「はっ、はぁっ……おねいちゃん……」
 唾液で湿った声で姉を呼ぶ。彼女は優しく真優の髪を撫でてくれた。
「真優……可愛い。可愛いよ」
 上に覆い被さっている彼女はゆっくりと顔を下ろし、真優の体に口をつけ始める。まるで自らの熱で溶かそうとでもしているように、丁寧で、いやらしく。
「ああっ……んくっ……ひゃっ!」
 油断していたら、無防備な胸に手が掛かってきた。軽く握ったまま、人差し指と親指で芽吹き始めた薄紅の蕾をきゅっと摘む。
「やっぱりブラ、買わないとね……こんなになってたら、服の上から浮いちゃうよ、真優……」
「おねいちゃ……っ!」
 空いている方の突起は口に含まれ、歯の先で甘噛みされる。強い電流が波となって、全身を支配していくようだ。
 ふと混濁した意識の中で、嗅覚が爽やかな香りを捉えた。先ほど使っていたボディーソープに似ているが、少し違う。
 ――これって、おねいちゃんの、香り……?
 花よりも、果実よりも甘く芳醇だった。それにもっと触れたい。抑えきれない欲求が、突如駆け上がってきた。
「あっ……!?」
 由香里の背中に立てた爪を、くすぐるように上から下へと流した。彼女が顔を上げる。
「……おねいちゃん。私もおねいちゃんに、触りたい」
「えっ、真優、でも……」
「お願い……」
 目でねだる。彼女は視線をさまよわせていたが、こくりと顎を引いた。そして体を持ち上げる。
「おっぱい、触るね……」
 目の前に垂れ下がった豊満な胸を手で包む。想像以上の柔らかさと弾力に、先ほどからうるさかった心臓の音が加速していくようだった。
 これが、大人の――おねいちゃんの体。ごくりと唾を呑み込んで、真優は既に尖りきっていた乳首に食らいついた。
「んくっ、真優……っ!」
 由香里の体が震える。舌先で押してみると、こりこりしていて癖になりそうな触感だった。
 空いている手をそっとお腹の辺りに忍ばせてみる。しなやかさが指先に吸い付いてきた。触れているだけでここまで心地いいのでは、いつまでもこうしていたいと思えてしまう。
「嘘……真優が、こんな……んっ」
 真優の拙い愛撫にも、由香里は唇を噛みしめて耐えるような表情をしていた。赤らんでいる頬も色っぽくて、もっとそんな彼女を見たかった。
 更に続けようとしたら、突然彼女が倒れ込むように密着してきた。長い髪がベッドの上に広がり、シャンプーの香りが漂う。
「……ごめんね、真優。……好き」
 そう言って彼女は真優の頬を舐め始める。
「好き、好きなの……小さい頃からずっと……ごめん、ごめんなさい……」
 頬が唾液と、言葉にまみれていく。
 それは告白だった。彼女はずっと前から真優に対し劣情を抱いていて、あの日の夜、ついにそれが抑えきれなくなってしまったということなのか。
「おねいちゃん……謝らないで」
 真優は彼女の顔を両手で包むと、瞳からこぼれている涙を舐めとってやった。
 何が正しいかなど、わからない。ただ、彼女の悲しむ姿だけは、見たくなかった。
「真優……」
 二人は頭の位置を互い違いにした体勢に移った。真優は寝転がったまま、由香里の足の間にある秘密の場所を見上げる。
 初めて目にした大人のソコは、いつか鏡を使って見た自分のものとは大分違った。合わさった二枚のピンクの花びらは僅かに開いていて、そこから溢れ出たらしき粘液が、内股までびっしょりと濡らしている。無意識のうちに唾を呑み込んでしまう。
「お、おねいちゃん……どうすればいい……?」
「えっと、両手使って、開いてみて……?」
 真優は言われた通り、花びらの横の盛り上がった部分に指を掛け、ゆっくり開いていった。
「わっ……」
 もっと赤く色づいた粘膜が顔を出す。花びらをめくってみたら、熟れたての果実が現れたかのようだ。綺麗というか、その光景はどこか生々しかった。
「んくっ! ま、真優……!?」
 次の指示を待たず、真優は少し顔を持ち上げて欲求のままに由香里の開いた秘裂に口づけた。そこを汚している蜜を、おぼつかない舌使いで舐っていく。とろとろと絡みついてくる液体は、しょっぱいような甘いような、よくわからない不思議な味がした。
「ああっ……真優が私の、舐めてる……っ」
 由香里の感嘆の吐息が聞こえる。かと思うと股間にぐにゃりとしたものが触れて、真優は危うく舌を噛みそうになった。向こうも真優の同じところに同じことをし始めたようだ。
「んぐっ! はぁっ!」
「真優、おいしい……もうぐちゃぐちゃだよ、ここ……」
 由香里の愛撫にも余裕がなく、真優の幼い秘裂をやや乱暴に掻き回してくる。
「おねいちゃんだめぇっ、そんなぁ……っ!」
 お腹の奥がぎゅっと締まって、気が狂いそうになる。意識を手繰り寄せようと、真優もまた目の前にある彼女のふやけたソコに、舌を走らせた。
「おねいちゃ……んぐっ、おねいちゃん……」
「真優、好きだよ……好き、好き……っ」
 お互いを呼ぶ声が二重になり、二人しかいない部屋の中にこだましていった。


 電気を消した、薄暗い部屋の中。真優と由香里は一糸纏わぬ姿のまま、抱き合ってベッドの中にいた。まだ交わった後の匂いが、空気中に色濃く残っている。
「真優、本当に、ごめんね……」
 由香里がしとやかな手つきで真優の髪を撫でる。その瞳にはあのねめかしい光はなく、姉であり母である、いつもの彼女が宿っていた。
 そう、慎ましやかで優しい、憧れの女性。大人になったら彼女みたいになりたいと、ずっと願っていた。たとえ何が起きても、その想いが変わることはないはずだった。
「いいんだよ、おねいちゃん。……いいの」
 真優はじっと彼女を見つめ返しながら、その頬に手を置いた。
 今、自分の中に渦巻いている感情を何と呼ぶのかはわからない。でも、姉が――由香里が望むのであれば、自分はこれを、恋だと呼ぶことにしよう。
「――私もおねいちゃんのこと、好きだから」



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