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私の可愛い女の子





 電車から降りると、まだ上がったばかりの新鮮な日の光が降り注いできた。
 園原美希(そのはら みき)は大きく伸びをしながら駅構内を歩いていく。長いストレートの髪はシュシュでまとめて横に流し、ブラウスにタイトスカートとそれなりにビジネスを意識した格好をしていた。
 大学を出てから、今の会社に勤めて二年ほどが経つ。最近では新人の頃よりも自分の意見が受け入れられつつあって、一番仕事が波に乗っている時期だった。ハイヒールを履いた足取りはステップを踏むように軽やかだ。
 今日テレビで見た星座占いでは、運気絶好調ということらしい。その効力が早くも現れていて今日はいい天気だし、普段混んでいる電車内も今日は空いていて座席に座ることも出来た。
 更に、今日は人生の転機が訪れるかも、ということだった。
 ――まあ、さすがにそこまで当たりはしないでしょうけど。
 そう思って思わず苦笑いを浮かべた時だった。
「あ、あの! すみません!」
 呼びかけるような大きな声が後ろから聞こえて、美希は足を止めて振り返る。
 女の子が立っていた。少年のようなショートカットの髪で、白いセーラー服を着ている。明らかに着始めたばかりらしく、袖に手が隠れるほどぶかぶかで生地が真新しかった。
「……? 私?」
 女の子はくりくりとした目でじっとこちらを見つめていたので、美希は自分を指さして尋ねてみる。はっとなった彼女は、ぶんぶんと勢いよく何回か頷いた。
「えっと……あたし、相馬(そうま)みつきって言います!」
 彼女は勢いよく頭を下げてから、まくしたてるように続けた。
「その、あなたのこと、いつも電車で見かけていて……べ、別にストーカーってわけじゃないんですけどつい目で追っちゃってて。すごく綺麗な人だなって……」
 目を泳がせていて、思い浮かんだことをそのまま口にしている様子だった。
 何を言いたいのだろうと言葉一つ一つを辿ってみて、美希は薄々気づき始める。
 ――あれ、もしかしてこの子……。
 同時に女の子の方も落ち着きを取り戻したようで、まっすぐに美希のことを見つめながら言った。
「あ、あなたのことが、好き、なんです」
 朝の通勤ラッシュの喧噪が遠のいた。人々は向かい合って立ち止まっている美希たちに見向きもせず歩いていく。まるでここだけ時間が止まっているかのようだった。
 ――人生の転機って、これ?
 唖然とする美希は、ぼんやりとそんなことを考えていた。

  *

 化粧台の前でメイクを終えると同時に、丁度よくチャイムの音が鳴った。壁の掛け時計を見るとぴったり約束の時間の五分前だ。相変わらず律儀な子だなぁと苦笑いして、美希は玄関へと向かう。
「はーい」
 早くも鼓動が高鳴っていたが、それを表情に出さないようにしながら入り口のドアを開けた。
「美希さん、こんにちは」
 外にはみつきが、満面の笑みで立っていた。眩しく感じて思わず目を細めてしまう。裾を捲ったクロップドパンツにジップパーカーという男の子のような出で立ちだが、活発な彼女にはよく似合っていた。
「待ってたわ、みつきちゃん。ちゃんといい子にしてた?」
「もう。あたし、そこまで小さい子供じゃないですよ」
「ふふ、そうね。さあ上がって、紅茶を淹れるから」
 美希はくるりと背を向けて部屋の中へ先導しようとする。するとその背中に、みつきがすっと抱きついてきた。
「……会いたかった、です」
 腰のあたりに巻き付く腕。美希の肩の辺りほどまでしかない背丈のみつきの額が、背中に擦りついてくるのを感じた。一瞬で頭がかっと熱くなる。
 美希の仕事が忙しかったこととみつきの学校のテスト期間が被ってしまったこともあって、かれこれ二週間ほど直接会うことが出来なかったのだ。スマートフォンのメッセージアプリでのやり取りは欠かさずしていたものの、やはりこの瞬間には絶対に叶わない。
「……私もよ」
 みつきの手をきゅっと強く握りしめて、呟く。
 彼女に突然告白された後、驚きはしたものの美希はなるべく平静を装って「それなら知り合うことから始めましょう」と提案してみた。電車で見かけていただけの、それも同じ女である自分に対して「好きだ」と面と向かって言い放つには、きっと並大抵ではない覚悟と勇気が必要だったに違いない。そんな彼女の想いを、無下にはしたくなかったのだ。
 みつきは今年中学に上がったばかりとのことだった。思っていたよりずっと幼い年齢に驚きつつも最初は朝の電車で一緒に過ごしたり、しばらくしてお互いの休日に共に出かけたりしているうちに、美希も少しずつ彼女に惹かれていった。
「美希さん!」
 はつらつと自分の名前を呼んでくれる彼女は、一緒にいる時間を本当に全力で楽しんでいるようだった。そんな彼女の子供らしい真っ直ぐな明るさが、時折こちらを見つめるときの愛おしそうな眼差しが、心に染み込んできた。そして今度は美希の方から、「好きよ」とみつきに自分の気持ちを伝えていたのだった。あの時の彼女の、涙でぐしゃぐしゃになった笑い顔は、きっと一生忘れることはないだろう。
「美希さんの家、ほんと久しぶりだなぁ」
 美希が出した紅茶を口元に運びながら、緩んだ表情でみつきがきょろきょろとしている。寝室と居間が分かれているが、そこまで広くないマンションの一室だ。しかし家具は必要最低限のものしか置いていないのでそれなりのスペースはあった。よく女性っぽくないと言われるが、美希はこの方が落ち着くのだ。
「二人とも忙しかったものね。それで、テストの方は大丈夫だったの?」
 美希はソファの隣に腰掛けるみつきを向いて尋ねる。彼女はにっと笑うと指を二本立てた。
「バッチリ。点数わかるのは来週ですけど、凡ミスしてなかったら全教科百点間違いなしです」
「あら、すごいじゃない」
「しっかり勉強しましたから。……美希さんに、早く会いたくて」
 そう言って彼女は甘えるように美希の肩に寄りかかってくる。その頭を、優しく撫でてやった。
「よくできました。偉い偉い」
「えへへ、ありがとうございます」
 うっとりと気持ちよさそうに目を閉じるみつき。人なつっこい子犬じみたその表情と、さらさらとした髪から微かに漂うシャンプーの香りに、悪戯心がむくむくとこみ上げてきた。
 頭を撫でていた手を滑らせて、小振りな耳にわざとねっとりと指を這わせてみる。
「あっ、ん……」
 彼女が思わずといった様子で熱っぽい吐息を漏らし、慌てて口を手で塞いでいた。美希はほくそ笑む。耳が弱いということは、もちろんわかっていた。
「どうかした?」
「い、いえ、何でも……」
 慌てて姿勢を正したみつきの顔を、美希は手でくいっとこちらに向かせた。
「美希さん……?」
「みつきちゃん、とても頑張ったものね。……ご褒美、あげなきゃね?」
 言った美希はゆっくりと彼女に近づいていく。察した彼女がぎゅっと目を閉じるのを確認してにやりとしてから、唇を重ねた。
 小さな上唇と下唇を交互に挟み込むようにしてその柔らかさを堪能し、少し強引に舌を隙間に潜り込ませる。彼女は素直に口を開いてくれた。歯の表面や裏側などをくすぐってから、彼女の舌に絡んでいく。
「舌、突き出してみて……?」
「ん、ふぁい……」
 言われたとおり姿を現した彼女の舌先を強く吸い上げてやり、唾液を啜る。仄かに紅茶の香りが口内に広がった。
「ふあ……っ」
 顔を離すと、口の端から唾液をこぼして恍然としているみつきがいた。ぞくぞくと、劣情が体を這い上がってくる。
「……ベッドへ行きましょうか」
 頬に触れて囁くと、彼女はまだ呆然とした様子でこくんと頷いた。

  *

 寝室はカーテンが引いてあり、少々薄暗くしてあった。美希としては明るくても問題はなかったが、こうしないとみつきの方が恥ずかしがるのだ。
「じゃあ、脱がすわね?」
 シングルベッドの上に腰掛けて向かい合った状態で、美希はそう尋ねてからみつきの服に手を掛けた。ジップを引き下ろしてから、パーカーをはぎ取る。その間彼女は照れくさそうに視線を外したままだった。
「はい、ばんざーい」
 インナーのTシャツに手を掛ける。みつきはどうしてかためらいがちだったが腕を上げてくれたので、そのまますっと服を通り抜けさせた。そこで美希は、彼女のためらいの理由を知った。
 彼女の成長途中のなだらかな膨らみを覆う下着。いつもは機能重視のスポーツブラなのだが、今日は薄く桜色に色づいて胸の間にリボンがこさえられている可愛らしいものだったのだ。
「可愛い下着。もしかして、期待してくれてたのかな」
「えっと……はい」
 顔を真っ赤にしつつも素直な返答をする彼女が、尚愛おしくなる。
「下もお揃いかしら」
「あ……」
 履いていたパンツも脱がすと、上と同じショーツが現れた。みつきは恥ずかしそうに両手で自分の体を覆う。もちろん彼女だけに肌を晒させる気はなかった。
「私の服も、脱がせてくれるかしら?」
「えっ……」
「嫌?」
「そ、そんなことないです。し、失礼します……」
 辿々しい手つきで彼女が美希のブラウスのボタンを外していく。こういうことは初めてではないはずなのに、未だに慣れないみたいだ。
「美希さん、やっぱり綺麗ですね……」
 ブラウスを脱ぐと素肌にみつきの視線が張り付いてくる。この日のために買った蝶の刺繍が入った紫のブラに覆われた胸はそれなりの大きさがある。ウエストラインもくびれを保っており、スタイルにはそれなりに自信があった。だから誉めてもらえるとやはり嬉しい。
「ありがとう。みつきちゃんも、とっても可愛いわ」
 スカートも脱いで折り畳んでから、改めてみつきと向かい合う。これで二人とも同じ下着姿になった。
「みつきちゃん……」
 まだ目を逸らしたままだった彼女の手を引いて、抱き寄せる。肌が触れ合って、彼女の高い体温をしっかり感じることができた。
「美希さ……んっ」
 名前を呼びかけた彼女の唇を再び塞ぐ。今度は少しだけ荒々しく舌を忍ばせる。
「んむっ……」
 押し出されるように彼女の吐息が漏れ出すのを聞いて、ますます感情が高まっていく。キスを続けながら、美希は指で彼女の弱い耳を弄んでやる。
「ん、くっ……」
 彼女が小さく反応を示す。それに気をよくして、美希は離した唇を彼女の首、肩、鎖骨、胸元と順番に押しつけていく。瑞々しい肌が、逆にこちらに吸いついてくるかのようだった。
「んんっ……!」
 無意識のうちに背中に手を回すと、彼女がぴくんと反応した。今まであまり意識していなかったが、ひょっとしたらそっちも弱いのかもしれない。
「みつきちゃん。ちょっと後ろ向いてくれる?」
「……? 後ろ、ですか」
 怪訝そうながらもくるりと後ろを向いたみつきの背中に、美希はいきなり口づけた。
「ひゃっ! ちょっ、美希さん……」
 彼女が身を強ばらせる。やはり弱いみたいだ。調子に乗って何度もキスをしてしまう。小さな羽が丸まったような形をした肩胛骨の周りを、舌でなぞった。
「はっ……あっ、んっ……」
「気持ちいいの、みつきちゃん?」
「は、はい……きもち、いいです……っ」
 腰の辺りまで舌を滑らせてやると、段々彼女の肌に赤みが差してきているような気がした。彼女は口元を両手で押さえて震えている。小動物を連想させる仕草に、ますます嗜虐心が煽られた。
 身を起こして、みつきのブラのホックを外す。そして自分もブラを脱いで、後ろから彼女を抱き抱えた。豊かな胸をぎゅっと押しつけるのも忘れない。
「あっ……」
「こうしてくっついてると、気持ちいいわね」
 両手を回して彼女の緩やかな膨らみを包み込む。やんわりと揉んでみると、まだ固さが残るものの十分柔らかかった。まだ青い果実の感触だ。
 指の間に中心の色づいた蕾を挟み込んでみる。
「っ……!」
 みつきが吐息を漏らす。しかし声は口の中に押し留めてしまっているみたいだった。
「声、出してもいいのよ?」
「で、でも……っ」
「遠慮しないで。私が聞きたいだけだから」
 そう言って揉みしだく手の動きを早くした。蕾は徐々に固さを増していく。体の反応は素直だった。
「ほら、可愛い声を聞かせて」
 屹立した突起を指の先で抓んでくりくりとこねくり回してやる。
「やぁっ……! それ、強……っ」
「ふふ、やっと聞かせてくれたわね」
 ほら、もっともっと。まくし立てるように首へと口をつけて強く吸い上げてやる。
「あっ、だめぇ……っ! んっ、はぁっ……」
 幼い体は頼りげなく震えていた。セックスに関して、自分がここまで積極的になるのは彼女が初めてだった。
 ――きっと、この子が可愛すぎるからね。
 そう思う。一回りも年下の少女に自分は、のめりこむほど夢中になっているのだ。
「あの……美希さん……」
 ふとみつきがこちらを振り返る。
「ん、どうかした?」
「あたしも、美希さんにしたいです」
 潤みつつも、まっすぐな眼差し。本当はもっと彼女に触れていたかったが、これには弱い。
「……じゃあ、お願いしちゃおうかな」
「はい!」
 元気良く言ってから、彼女はくるりとこちらを振り返った。
「えっとその……キス、しますね」
「……どうぞ」
 両肩に手を置いて、彼女が顔を近づけてくる。緊張しているのが丸わかりで、微笑んでしまいそうになるのを堪えた。
 唇が触れ合う。薄く小振りな舌が入り込んできた。口内を舐っていく舌の動きは本当にぎこちないものだったが、それがむしろ彼女の一生懸命さを伝えてきていて胸の内を刺激されるようだった。
「む、胸に、触ります……」
 わざわざ伝えてから、彼女は美希の乳房におそるおそる触れた。ゆっくりと指を表面に沈み込ませてくる。
「……どう?」
「すごい、柔らかい……。やっぱり、あたしと違います……」
 しばらくそうしていたのち、不意に彼女は口を開き、美希の乳首を唇に含んだ。彼女の反応で気が高まっていたので、そこはすでに屹立して敏感になっていた。
「あんっ……! もう、いきなりしたらダメでしょう……?」
「ご、ごめんなひゃい……」
 彼女は口の中の突起に舌を絡ませてくる。不慣れながらも力加減がよく出来ていて、こそばゆさと快感の入り交じった刺激が走り、思わず吐息が漏れてしまう。自分のやり方を真似しているのだろうか。彼女も、成長しているのだ。
「はぁ……っ。そう、上手ねみつきちゃん……っ」
 ぼんやりした表情の彼女だったが、頭を撫でてやるとにっこりと顔を綻ばせた。それを目にしてしまうともう堪らない気持ちになった。
 彼女の肩に手を置き、体を引き剥がす。
「美希さん……?」
「交代よ、みつきちゃん。次は私の番」
 ――この子に触れたい。私の手で快楽に染まる表情を見たい。
 そんな想いに取りつかれ、美希はそっとベッドの上にみつきを押し倒した。
「これ、脱がしちゃうわね」
「は、はい……」
 ショーツに指を掛けると彼女は腰を浮かせてくれる。二重の布の部分がすでに色濃くなっていて、鼓動が疼きだした。
 するりとショーツを取る。そして彼女の膝を立てて、ゆっくりと開いていった。
「あ、あの、美希さん!」
 のぞき込もうとするとみつきが慌てて起き上がってくる。
「あら、何かしら」
「その、今日はシャワー浴びてないから……」
 気まずそうに俯くみつき。ああ、そんなことか、と美希は口元を綻ばせた。
「そう? 私は全然気にならないけど」
「いや、あたしが気になるんですけど……」
「もう、いいから横になって。……それとも、私のこと信用できない?」
 わざと意地悪なことを尋ねてみる。彼女ははっとなって、それから口を尖らせる。
「……ずるいですよ、それ……」
「ごめんね。でも、ここでお預けされたくないから」
 渋々彼女は再び横たわってくれる。改めて美希は身を屈めて、彼女の足の付け根をのぞきこんだ。
 柔肉が微かに開いて、ぴたりと合わさった二枚の薄い花びらが見えた。繊毛も産毛程度でまだ生え揃っておらず、全体的に小ぶりな少女器官だった。背徳感で背中がぞくぞくした。
 指を掛けて左右に開いてやると、ぬぱぁっと軽く糸を引きながら紅く鮮やかに色づいた粘膜が現れる。溢れだした蜜にまみれて、てらてらと光っていた。仄かに香るのは、きっとおしっこ匂いと、彼女の蜜の甘酸っぱさが混じり合ったものだろう。いくらだって浸っていられそうだ。
「すごく濡れてる……。いつからこうなってたの……?」
「ご、ごめんなさ……っ」
「謝らないで。……もっと可愛い姿を、見せてね」
 姿を晒した粘膜に、そっと美希は舌を這わせた。
「ひっ……!」
 大きくみつきが仰け反る。構わずに潤った果肉を舌で味わっていく。とろみがあって少々青臭い果汁の味が口に広がる。美希は唇をつけて夢中で啜った。
「んあぁっ! やぁ、ダメっ……!」
 彼女がびくりと震えると、小さな蜜口から新しい蜜がとろりと溢れだした。いやらしい光景に体の熱が急上昇する。そこに美希は、指をあてがった。
「……入れる、わね」
 上擦った声で告げて、中指をぐっと押し進めた。やや固い入り口に呑み込まれていく。
「あぁっ! んはっ、み、美希さぁ……っ!」
 天井を擦るように指を動かすと、彼女が体を大きくよじる。きっと刺激が強すぎるのだろう。
 ――だったらもっと、滅茶苦茶にしてあげる。
 美希は裂け目の上部、皮を被った肉芽をそのまま唇でくわえてやった。
「ああぁぁっ!」
 ほとんど悲鳴に近い声が上がる。指がきゅっと強く締め付けられた。包皮を押し上げて尖りきった肉芽を舌先で優しくはじいてやる。
「ダメっ、ダメぇっ! 美希さっ……死んじゃうぅ……っ!」
 彼女は大きく体を揺さぶりながら大きく目を見開いていた。もう何も考えられないくらい掻き乱されているようだ。
 ――私で。私で一杯になって、みつきちゃん。
 クリトリスを舐る舌を激しくし、膣内の指は彼女が一番弱いところをぐいぐいと押し上げた。
「ひぁぁっ! イくっ、イっちゃうぅっ!」
 体を弓なりにしならせて、彼女は痙攣するように激しく震えた。ぎゅうっ、と痛いくらいに中に入れた指が締め付けられる。手に取るようにはっきりした絶頂に、美希も高まりに連れて行かれるところだった。
「みつきちゃん……」
 荒く息を吐いてぐったりしている彼女に折り重なり、小さな体を抱きしめる。そして汗ばんだ頬にそっとキスを落としてやるのだった。

  *

「美希さん、起きてますか?」
 頭の上からみつきが声を掛けてくる。美希は目を開いて顔を上げた。
「ええ、もちろん。せっかく二人でこうしていられるのに、寝ちゃったりしたらもったいないもの」
 そう言ってみつきの胸元に額をすり寄せる。ベッドの上、二人はまだ一糸まとわぬ姿で体を触れ合せていた。正確には、美希の方がみつきの体に抱きついているような恰好だ。
「ごめんね、もしかして寒かったかしら。あと少ししたら、一緒にシャワーを浴びましょう」
「寒くなんてないですよ。美希さん、温かくて……柔らかいから。とても快適です」
 控えめに照れ笑いを浮かべて、彼女は言う。そしてすっと美希の頭に手で触れてきた。
「美希さんがしたいだけ、ずっとこうしててくださいね」
 降り注ぐ日差しのような、温かな笑みを向けられる。それを見ると顔が熱くなって、不意に恥ずかしくなって、美希は彼女の胸に顔を埋める。
「そ、そう。じゃあ今だけは、みつきちゃんの方がお姉さんね」
「はい。じゃんじゃん甘えてください」
 ――本当に、この子は。
  子供のようだと思っていたら、時折大人びた表情も見せる。そんな彼女の知らなかったところを一つまた一つと知るたびに、心は揺れ動いていく。――もっと彼女を、好きになってしまう。
「ねえ、みつきちゃん」
「何ですか?」
「……ありがとう」
 ――あの時勇気を出して、私に好きだと言ってくれて。
 そう伝えると彼女はくすぐったそうな顔になって、耳元に囁いてくれた。
「……こちらこそ」



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